Works - Exhibitions
先日、高台寺圓徳院での2か月間にわたる個展が無事終了致しました。
皆様のおかげで、大変盛況のうちに終えることができました。
ご支援、ご覧頂いた皆様、心より感謝申し上げます。
紅葉の最も美しい時期に、桃山時代の建築が息づく高台寺圓徳院の書院から庭園、茶室まで境内全域に、大きな作品中心に50点以上をゆったり展示できた過去最大級の個展となりました。
「久しぶりにとても心が落ち着いて、いい時間を過ごせました」と来ていただいた多くの方が帰りに穏やかな表情で感想をおっしゃってくれるのが本当に嬉しくて、作品を作る意義をまさに実感できる展示でした。
「日本で一番良い展示だった」とおっしゃってくれたルーブル美術館のサポートメンバーの方々、作品に感動して涙を流して言葉もつまるほど感謝を伝えてくれたカナダの女性、娘さんとの月の思い出を語ってくれて「月の作品をぜひ娘に」とお話ししてくれたオーストラリアの女性、「空くう」の思想、書画に自分自身の想いを重ねて感動してくれたドイツのご夫婦…世界中の沢山の素敵な出会いがありました。
一観光客としてお寺をただ訪れた方が、私やお寺の方が誰も接客していないのに、純粋に作品だけをご覧になり、どなたも作品コンセプトに心から共感して頂いて、向こうからコンタクトを頂き、家に迎えたいと願ってくれる、まさにこれがアートのみの純粋なコミュニケーションだと感じ、アーティストとして苦労が報われる瞬間でした。
これは、作品を見に行って接客のあるギャラリーではできない貴重な経験でした。
またギャラリーや美術館の均一的な光、空間と違い、ねねさんが実際にお住まいだった400年前のお部屋に自然光の柔らかい光が差し込み、その空気感が最高に贅沢な時間でした。
特に木漏れ日が障子やすだれを通して、風に揺らめきながら、その光と影によって、作品に生命を与えられたかのような輝きを放ち、太陽のスポットライトが時間によって窓の向きによって変わっていく面白さが毎日見ていても飽きず、見るたびに新しい発見がありました。
江戸時代の茶室にも床の間から茶道具一式すべて自作の作品を設え、
躙り口、格子窓から紅葉の赤い光が差し込み、床の間がピンクに染まることも―。
時が止まったかのような、いや、何百年も前に戻ったかのような時間でした。
今回は秋の特別拝観で、夜のライトアップもあり、伏見城から移築した枯山水の庭に、満月(さらに展示期間中はスーパームーン)が登り、その月あかりに照らされたお庭と紅葉を借景にした作品のコラボレーションも一生忘れられない光景でした。
2か月も展示していると太陽と月の傾き、高さが徐々に日々変化していき、まさに個展のテーマでもある四季の移ろいや、色即是空を感じられる展示になりました。
他にも長谷川等伯の重要文化財の襖絵とのコラボレーション展示、
蔵の中の美術館のような落ち着いた展示もあり、
様々な変化に富んだ作品の見せ方ができたのも圓徳院ならでは。
もうあの光景が見れないかと思うと寂しさが一入です。
よろしければ、個展の情景をInstagramやFacebookにアップしていますのでご覧ください。
走り続けた半年ですが、
頂いた沢山の出会いと新しい発見を胸に、次の展示に向けて制作に励みます。
休む間もなく、次は来年5月27日から6月2日まで東京駅の大丸東京で、
7月22日から8月4日まで名古屋松坂屋で個展を開催します。
どちらもまた広い会場で、かなり作品が必要なので制作頑張ります。
最後になりましたが、今年も大変お世話になり、誠に有難うございました。
心より感謝申し上げます。
来年もどうぞよろしくお願いいたします。
良いお年をお迎えください。
野田 朗子
Akiko NODA


