Works - Exhibitions
このたび、高台寺塔頭・圓徳院で、秋の特別拝観に合わせて、ガラス作家・野田朗子による企画展「GLASS GARDEN ― 色即是空」を10月10日から12月14日まで、約二か月間開催致します。
「色即是空、空即是色」をコンセプトに、秋にちなんで紅葉や月、宇宙をモチーフにした新作、1m弱の大型作品も含めて、約30点を歴史的な建造物であるお寺の空間を活かして、インスタレーション的に展示します。夜にはライトアップも点灯し、本堂、付書院、蔵、石庭、茶室の境内全域に各所の設えにあわせた作品が、四季の移ろい、物語を感じられる空間構成となっています。
「一葉知秋」
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圓徳院は豊臣秀吉公のご正室「北政所ねね」様が余生を送られた終焉の地です。
ねね様は日本歴史上最も出世した秀吉公の内助の功を果たし、秀吉公没後も高台寺を建立し、生涯にわたって追悼をされました。
そんなご性格を慕って、大名や公家衆の婦人方が圓徳院を頻繁に訪れました。
野田氏のガラス作品の繊細さ、透明感、それでいて光を放つような美しさは、まさにねね様のあり方そのものに感じられます。
当時の方々がねね様から勇気づけられたように、「生き方に迷う女性たちの心に一筋の光を与える」そんな力が野田氏の作品にはあると思います。
新聞社と広告代理店勤務後、ガラス工芸に魅せられビジネスの世界から一転、アートの世界へと飛び込んだ野田氏。
東京で多忙な生活を送った経験と、自然と文化のあふれる京都で過ごした幼少期との相反する経験から感じ取った時間の感覚を作品に投影し、精力的に制作展示活動を世界で展開しています。
彼女の制作テーマは「自然の気配と心のうつろい」。透き通ったガラスの中に季節の訪れやそれを感じる人の思いを写し、すべての生命の営みに通ずる“色即是空”を様々なガラス技法で表現しています。
今回は、70㎝を超えるオブジェから花入などの器まで境内全域に約30点を展示します。
作家の名前の由来でもある月をモチーフにした作品を中心に、東京藝術大学大学院の時から取り組んでいる蓮をモチーフにした作品も出品予定です(蓮の小さなお香立なども販売予定)。
どこか祈りにも似た清廉な美しさが漂う野田氏のガラスの世界。
紅葉の美しい季節にぜひ圓徳院にお越しください。 高台寺執事・圓徳院住職 後藤正晃
「GLASS GARDEN ― 色即是空」 展示Concept
すべてのものは刻々と変化していき、永遠に不変のものは存在しない。
意識や感情はもちろん、私達の身体ですら一年後にはほぼ全ての細胞が入れ替わっている。
あらゆる事象が様々な因縁、関係性によって結びつき、私達は「色(しき)」として一時的に存在しているに過ぎない。
これだけ科学が進んでも、解明されているのは宇宙のたった5%。
宇宙には「空(くう)」が広がっている。
すべてが移り変わる世界で
長い時間軸のなか、今、
私達は、奇跡的に宇宙の一員として一瞬を生きている。
私にとって作品を作ることは、見えない「空(くう)」を「色(しき)」として表現することかもしれない。
野田 朗子
野田朗子 「GLASS GARDEN ― 色即是空」
■開催日時 2025年10月10日[金]-12月14日[日]
※12月12・13日のみ拝観休止
■拝観時間 10月10日-10月23日 10:00-17:00(17:30閉門)
10月24日-12月14日 10:00-21:30(22:00閉門)ライトアップ実施期間 17時点灯
■会場 高台寺塔頭・圓徳院 〒605-0825 京都市東山区高台寺下河原町530
■拝観料 大人500円、中高生200円、団体(30人以上)400円、
3ケ所共通割引拝観券(高台寺、掌美術館、圓徳院)900円
■アクセス
・JR京都駅・近鉄京都駅から市バス206(東山廻り)→東山安井停下車→東へ徒歩7分
・阪急京都河原町駅・京阪祇園四条駅から市バス207→東山安井停下車→東へ徒歩7分
・JR京都駅・近鉄京都駅からタクシーで約15分
・駐車場は高台寺駐車場をご利用ください。
https://www.kodaiji.com/entoku-in/topic/2025autumn.html
※11/1・2・3、22・23・24の三連休は作家在廊予定。雨天以外は、石庭への特別展示もあります。
その他の日程など変更は、facebook、instagram @akikonoda.glassで随時更新します。
■野田 朗子(のだ・あきこ) 経歴
京都市生まれ、在住。同志社大学大学院修了後、マスコミ勤務を経て、ガラスアートの道へ。
2011年東京藝術大学大学院修了後、大学勤務を経て、東京、London、NYなど、国内外の個展、アートフェア等で作品を発表。
現代社会における時間の流れ方や環境破壊、紛争、近視眼的なモノの見方に疑問を持ち、自然への敬意を軸に「人は自然の一部である」を制作のコンセプトとして、生から死へと向かう命のゆらぎ、うつろいゆく一瞬をガラスで表現している。
2011年 東京藝術大学大学院 美術研究科修了、卒業制作展・台東区長奨励賞 受賞
2012年 第5回現代ガラス展in山陽小野田・三輪休雪審査員賞 受賞
2013年 第52回日本現代工芸美術展・現代工芸大賞 受賞
2015年 第1回藝文京展・京都商工会議所会頭賞 受賞
2016年 Concorso Arte Milano、日本人作家10人選抜展(ミラノ)
2017年 個展(京都高島屋、&2021年)、個展(高台寺圓徳院、京都)
2019年 LONDON ART FAIR(ロンドン)、FINE ART ASIA(香港)
2020年 Savoir-faire des Takumi(パリ)、個展(日本橋高島屋、&2022年)
2024年 個展(壺中居、東京)
2025年 miratap Art Award 2025 社長特別賞 受賞